Sailin'Japan / News Detail
明日から本番「スウェディッシュマッチカップ1999」
ラッセル・クーツ、エド・ベアードも登場
1999年7月4日スウェーデン・マルストランド発 おなじみピーター・ギルモア率いるピザーラセーリングチーム(PST、クルー/谷路泰博 、脇永達也、早福和彦、兵藤和行)は、7月3日深夜にレース会場のスウェーデン・マルスト ランドに入りました。 明けて7月4日朝、明日からの「スウェディッシュマッチカップ1999」本戦に備え練習 開始。コンディションはあいにくの微風でしたが、このところ日本でアメリカズカップ艇(1 6人乗り)のトレーニングに没頭していたPSTにとって小型艇(5人乗り)でのレースは久 々のこと。各自のクルーワークとチームの連携プレーを何度も確認する一方、レース海面の風 や潮流をチェックしながらたっぷりと身体をいじめました。 朝一番のレース本部には選手が続々と表れ選手登録をします。アメリカズカップを防衛する ニュージーランドのラッセル・クーツ、カップ奪還をたくらむ米国のエド・ベアード。そして PSTを率いる世界ランキング1位のピーター・ギルモアはニッポンチャレンジ。この3人が アメリカズカップ前に戦うのはおそらくこれが最後になるでしょう。そういった意味でも貴重 な前哨戦。マルストランドのレース本部は早朝から異様な熱気に包まれました。 練習後、恒例のプロアマ・スポンサーレースに参戦予定だったPSTですが、雨と無風のた めレースはキャンセル。実戦練習をと考えていたPSTにとっては肩すかしを食らった格好に なりましたが、この時間をゆっくりと休養にあて、明日からの本戦に備えました。 今回はスウェディッシュマッチ・カップに加えて「スウェディッシュマッチ・ウーメンズ・ トロフィー1999」も同時に開催されます。招待された4人の女性スキッパーはベッツィー ・アリソン(米、女子マッチレース世界ランキング2位)、ドルテ・ヤンセン(デンマーク) 、クリスチーナ・ブリアン(仏)、マリー・ビョーリン(スウェーデン)。今年はいっそう華 やかになりそうなスウェーデン・マルストランドです。 レースデータ 大会名称/スウェディッシュマッチカップ1999 開催場所/スウェーデン・マルストランド(イエテボリ=ゴーセンバークの西) 主催/ザ・ロイヤル・ゴーセンバーグ・ヨットクラブ 期間/1999年7月5日から11日 参加選手/12名 賞金総額/SEK74万(スウェディシュ・クローネ) レース使用艇/DSマッチレーサー(全長11.25m、5人乗り) レース方式/ 予選 まず、12人全員で総当たり戦を行う。1勝につき1ポイントが与えられる。この結果 、1、4、5、8、9、12位のスキッパーがグループA、残りのスキッパーがグループBに 分けられる。次に、A、Bそれぞれのグループ内で総当たり戦を行う。1勝につき2ポイント が与えられる。ここまでの総得点の結果、各グループの獲得ポイント上位2人のスキッパーが 準決勝戦へ進出する。 準決勝戦 先に3勝したスキッパーが1位、2位決定戦へ進出する。敗れたスキッパーが3、 4位決定戦に進出する。 決勝戦 1、2位決定戦/先に3勝したスキッパーが優勝。 3、4位決定戦/先に3勝したスキッパーが3位。 5位以下の決定戦/予選のA、Bそれぞれの3位のスキッパーが5位、6位 決定戦、それぞれ4位のスキッパーが7、8位決定戦、それぞれ5位のスキッパーが9、10 位決定戦、それぞれ6位のスキッパーが11、12位決定戦を1レースのみ戦う。 PSTレース前の様子 (1)早くもラッセル・クーツと遭遇 約18時間のフライトを終え、3日深夜に現地に入ったPST。ニッポンチャレンジの練習 の都合でピーターと兵藤は関西空港から、谷路、脇永、早福は成田空港からと別便となったが 、スウェーデンにはピタリと同時刻に到着。谷路一行はフランスからスウェーデンの飛行機内 でラッセル・クーツに遭遇。お互い明るく声をかけるも、心中では早くも闘志を燃え上がらせ ていた。 (2)体重測定、一発でクリア 疲れているとはいえ、体重検査(ルールでクルー全員の体重合計は440kg以内と決めら れている)をクリアするためこの日は食事を取らずにそのままベッドへ直行。時差の影響もあ ってみんな早々と眠りについた。翌朝、朝一番で体重測定すると、何とルールにピッタリの4 40kgで一発合格。1週間前の体重に比べると、全員で14kgの体重を落としたことにな る。測定終了後、いつもの2倍近い朝食をペロリと平らげ、全員が満足そうな顔だった。 (3)プログラム、ポスターはPST一色 レース会場で誰もが持っているレースの公式プログラム。スウェーデン語のみなのだが、そ の表紙はPSTの艇上写真のどアップ。さらに表紙を開くと、最初に目に飛び込んでくるのが 「Vill du se Gilmour forlor?」とだけ書かれたシンプルなページだ。「ギルモアの敗北が 見られるか?」といったような意味らしいが、何ともセンセーショナルなフロントページでは ある。また、会場に貼られているポスターもピーター・ギルモアの顔がアップで配され、谷路 選手のクルーワークの連続シーンが載っている。同レース3連覇がかかるディフェンディング ・チャンピオンPSTの面目躍如といったところ。
ピザーラセーリングチーム 1勝1敗
宿敵ラッセル・クーツを撃破
しかし、地元ビヨン・ハンセンに敗れる大波乱
1999年7月6日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート 今日から本番を迎えた「スウェディッシュマッチカップ1999」。12名のスキッパーは、は やる心を抑えながら早朝の艇長会議に顔を見せる。対戦表によるとピザーラセーリングチーム(PS T)は本日2レースのみ。しかも、最後の2レースだ。他のスキッパーが次から次へとレースをこな すのを横目で見ながら、午後3時までの長い待機状態となった。 朝から吹いていた風が落ちはじめ、レース海面が少し落ちついて来た頃、ようやくPSTの番が 回ってきた。相手は何といきなりラッセル・クーツ。アメリカズカップを防衛するチーム・ニュージ ーランドのスキッパーだ。クーツはすでに強風の中5レースを戦い、5勝している。身体は十分にこ なれているはずだ。PSTの各クルーは入念にストレッチを行い、ヨットに乗りこんだ。 スタート前、PSTはスターボ、ポートでミーティングしたとき航路権をおかされたと抗議。し かし、審判の裁定はセーフの緑旗。大きな声がPSTの艇上から起きる。闘志むき出しのPSTだ。 スタートは両艇ともいいタイミング。互角だ。しかし、次のミートですでにPSTが先行。左海 面で風向の変化をつかんだ結果だ。走りも互角。ということは、このリードをいかに守り切るかが勝 負のポイントだ。 小型艇(5人乗り)でのレースは久々のPST。しかし、走りは確実だ。細かい風の振れも見逃 すことなくリードを死守し、このレースを勝ち取った。緒戦に宿敵ラッセル・クーツを敗るという上 々の滑り出しとなった。 しかし、番狂わせが起こった。今日の2戦目、PSTは地元スウェーデンのビヨン・ハンセンと 対戦し、よもやの敗退を喫したのだ。敗因はスタートのリコール。陸上競技のフライングのようなも の。時間より早くスタートラインを切ってしまったのだ。こうなるといったんスタートラインの内側 へもどらねばならない。その分、遅れてしまったPSTは、距離を縮めることはできたもの逆転する までには至らなかった。 明日は予選となる総当たり戦のつづきが行なわれる。 今日の成績 エド・ベアード(米) 7勝0敗 マグナス・ホーンバーグ(スウェーデン) 4勝0敗 ラッセル・クーツ(ニュージーランド) 6勝1敗 ビヨン・ハンセン(スウェーデン) 4勝3敗 ピーター・ギルモア(PST、日本) 1勝1敗 ハンス・ワレン(スウェーデン) 3勝4敗 ヤスパー・バンク(デンマーク) 1勝2敗 ディーン・バーカー(ニュージーランド) 1勝3敗 トミスラフ・バシッチ(クロアチア) 1勝4敗 ステン・モア(デンマーク) 0勝2敗 ルック・ピロ(仏) 0勝3敗 ギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ) 0勝5敗 レース概要 大会名称/スウェディッシュマッチカップ1999 開催場所/スウェーデン・マルストランド(イエテボリ=ゴーセンバークの西) 主催/ザ・ロイヤル・ゴーセンバーグ・ヨットクラブ 期間/1999年7月5日から11日 参加選手/12名 賞金総額/SEK74万(スウェディシュ・クローネ) レース使用艇/DSマッチレーサー(全長11.25m、5人乗り) 本日のPST 「ダメデシタ」。レース終了後、開口一番のピーター・ギルモア。ラッセル・クーツに勝った喜びも 束の間、ビヨン・ハンセンに敗れたことがよほど悔しかったのだ。セールバッグを背負って記者会見 会場に向う足取りも、心なしか重そうだ。一方、「ビヨンはいい仕事をしました。でも、ぼくたちが まだ、完璧には小型艇の勘をとりもどしていないんだ」とは早福クルーの分析。それがスタートのタ イミング・ミスにつながったということだ。「スロースターター」の異名を持つPST。今日、レー ス数が少なかった分、明日にはぎっしりとレースが詰まっている。徐々にエンジンの調子を上げてい ってくれることだろう。 PSTのレースメンバー スキッパー(艇長) ピーター・ギルモア クルー(テイラー&ピット) 谷路泰博 クルー(ヘッドセールトリマー) 脇永達也 クルー(バウマン) 早福和彦 クルー(メインセールトリマー) 兵藤和行
トップに立ったPST
完璧、エド・ベアードを敗り、本日全勝
ボートスピードが抜群!
1999年7月7日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート 調子が出てきたピザーラセーリングチーム(PST)。昨日2戦のみとレース数が少なかったた めに、今日は6戦予定の過密スケジュール。しかも、アメリカズカップ挑戦シンジケートで最大のラ イバルと目されるヤング・アメリカのエド・ベアード(米)、アメリカズカップを保持するチーム・ ニュージーランドの若手ディーン・バーカー、地元の第一人者マグナス・ホーンバーグ(スウェーデ ン)相手に午前中3連戦とあって、朝イチから気合いが入る。 まずはホーンバーグ相手に完璧な1勝をもぎ取った後にディーン・バーカーと対戦。スタート直 前に風上、風下のケースで接触したPSTにペナルティが与えられる。しかし、スタートのマネージ メントは完璧で、バーカーをスタートラインの外側に追い出し、2艇身以上先行してラインを切る。 風は細かく風向を変化させ、一瞬バーカーに有利な変化があったが、ボートスピードがすごい。そこ で逆転を許さず徐々にリードを広げ、フィニッシュライン直前でペナルティ解消のターンを行って、 なお先行。激戦ながら、今日の2勝目をもぎ取った。 つづくエド・ベアード戦。スタートは互角ながら、上マークはPST先行。マーク回航直後、風 上、風下のケースでベアードにペナルティ。しかし、第二上マーク直前でタッキングを行った時、P STにペナルティ。タッキングの位置が相手艇に近すぎたという裁定だ。これでペナルティは一つず つでイーブンとなり、PSTの優位は崩れた。しかし、劣勢になったわけではない。ボートスピード に優るPSTがリードを守り切り、3連勝を飾った。 午後からの勢いは誰にも止められなかった。トミスラフ・バシッチ(クロアチア)、ヤスパー・ バンク(デンマーク)、ギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ)相手に圧倒的な差で3連勝。マ ークを回るたびに差は開き、格の違いを見せつけた。 今日の6戦全勝でPSTは通算成績7勝1敗とし、一気にトップに躍り出た。ラッセル・クーツ 、エド・ベアード、ディーン・バーカーのアメリカズカップ関係者を敗ってのトップだけに中味は濃 い。「上限いっぱいの440kgというクルーウエイトも効いていると思うが、風がある程度吹いて いるとボートスピードがめちゃめちゃ速い。スピードがあるから何をやってもうまくいく。それにレ ース前に行うミーティングの密度が高く、そのとおりにレースが進んでいる。いい感じですよ」とは 兵藤和行クルー。昨日とは一転して、ムードは最高だ。 明日は予選となる総当たり戦のつづきが行なわれる。 本日までの通算成績 ピーター・ギルモア(PST、日本) 7勝1敗 エド・ベアード(米) 7勝1敗 ラッセル・クーツ(ニュージーランド) 7勝1敗 ビヨン・ハンセン(スウェーデン) 5勝3敗 マグナス・ホーンバーグ(スウェーデン) 5勝4敗 ヤスパー・バンク(デンマーク) 4勝4敗 ディーン・バーカー(ニュージーランド) 4勝5敗 ルック・ピロ(仏) 3勝5敗 ハンス・ワレン(スウェーデン) 3勝5敗 ステン・モア(デンマーク) 2勝6敗 トミスラフ・バシッチ(クロアチア) 2勝7敗 ギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ)1勝8敗 レース概要 大会名称/スウェディッシュマッチカップ1999 開催場所/スウェーデン・マルストランド(イエテボリ=ゴーセンバークの西) 主催/ザ・ロイヤル・ゴーセンバーグ・ヨットクラブ 期間/1999年7月5日から11日 参加選手/12名 賞金総額/SEK74万(スウェディシュ・クローネ) レース使用艇/DSマッチレーサー(全長11.25m、5人乗り) 本日のPST ムードは最高。レース後の記者会見でもピーター・ギルモアは終始ニコニコ。それを見守る谷路 、脇永、早福、兵藤も余裕たっぷり。ピーター、クーツ、ベアードのビッグ3が7勝1敗で並んでい るとはいえ、他の二人に直接対決で勝っているPSTは1位。次のステップで総当たり戦の成績をも とにA、B2グループに分けられるが、1位のスキッパーは2位、3位のスキッパーとは同じグルー プにはならない。今日の順位のまま推移すれば、1位のピーター(PST)はクーツ、ベアードとは 違うグループになり、ますます戦いやすくなるわけだ。予選の最終結果は明日の成績次第ではあるが 、PSTにとって戦いやすい環境が整いはじめているのは確かだ。
ピザーラセーリングチーム第一次総当たり戦9勝2敗の1位
つづく第二次総当たり戦にも3連勝、いち早く準決勝進出を決める
1999年7月8日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート ピザーラセーリングチーム(PST)、今日はまず、第一次総当たり戦の残る3戦を戦った 。昨日の勢いを駆って今日もあっさり3連勝かと思われたが、しかし、そうはいかなかった。 ルック・ピロ(仏)、ステン・モア(デンマーク)には勝ったものの、地元ハンス・ワレン( スウェーデン)にまさかの敗退。第一次終了時点で通算成績9勝2敗となった。 しかし、勝ち数で並ぶエド・ベアードも最下位のギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ )相手に星を落とし、9勝2敗。直接対決でPSTが勝っているため、第一次1位がPSTに 確定した。ベアードはラッセル・クーツ(ニュージーランド)を敗っただけに悔しい2位だろ う。 ラッセル・クーツはエド・ベアードとビヨン・ハンセンに敗れて8勝3敗で3位。ハンセン は初日PSTに勝って地元のヒーローになっており、今日のクーツ戦を勝ったことによりその ヒーロー度さらにアップすること間違いなし。しかし、トップ3がいずれも下位の地元勢に星 を取りこぼしているのが目立つ。力の差があっても自然の変化によってどのように展開するか が予測不能。これがヨットレースの面白くて、怖いところだ。 第一次予選の通算成績 1位 ピーター・ギルモア(PST、日本) 9勝2敗 2位 エド・ベアード(米) 9勝2敗 3位 ラッセル・クーツ(ニュージーランド) 8勝3敗 4位 マグナス・ホーンバーグ(スウェーデン) 6勝5敗 5位 ビヨン・ハンセン(スウェーデン) 6勝5敗 6位 ヤスパー・バンク(デンマーク) 6勝5敗 7位 ハンス・ワレン(スウェーデン) 5勝6敗 8位 ディーン・バーカー(ニュージーランド) 4勝7敗 9位 ルック・ピロ(仏) 4勝7敗 10位 トミスラフ・バシッチ(クロアチア) 4勝7敗 11位 ステン・モア(デンマーク) 3勝8敗 12位 ギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ)2勝9敗 つづいて、上記の成績を基準にチームはA、Bの2グループに分けられ、第二次総当たり戦 にすぐさま突入した。とにかく忙しい。10分で昼食を終えたPSTはあわただしく海の上へ 戻っていく。PSTのAグループには、マグナス・ホーンバーグ、ビヨン・ハンセン、ディー ン・バーカー、ルック・ピロ、ギア・デイル・アンデルセンがいる。ベアード、クーツがいな いだけに戦いやすいこともあって、この第二次総当たり戦、PSTは3連勝。あと2戦を残し て、早々と準決勝進出に一番乗りを果たした。 明日は第二次総当たり戦のつづきが行なわれる予定。 Aグループ第二次総当たり戦の成績 ピーター・ギルモア(PST) 3勝0敗 マグナス・ホーンバーグ 2勝1敗 ディーン・バーカー 2勝1敗 ビヨン・ハンセン 1勝2敗 ルック・ピロ 1勝2敗 ギア・デイル・アンデルセン 0勝3敗 (本日Bグループのレースは行なわれず) 本日のPST 昨日6戦、今日も6戦を戦ったPSTの面々はさすがにぐったり。第一次総当たり戦と第二 次総当たり戦の間隔が短かったことも疲れに拍車をかけたようだ。今日唯一の敗戦となったハ ンス・ワレン戦を振り返って「最初の上りコースで相手の前を通過できそうだったが、風向が 変化して逆に前を切られてしまった。風向の変化、風の強弱が激しく、追いつくことはできる のだが、前へ出ることはできなかった。この海面、北東の風が吹くと風の予測がつかないなぁ 」と困惑気味の脇永達也クルー。しかし、「明日は午後からのレースなので朝はちょっとゆっ くりできそうです」と、連日朝6時起きの疲れを少しは癒せそうな雰囲気だった。 レース概要 大会名称/スウェディッシュマッチカップ1999 開催場所/スウェーデン・マルストランド(イエテボリ=ゴーセンバークの西) 主催/ザ・ロイヤル・ゴーセンバーグ・ヨットクラブ 期間/1999年7月5日から11日 参加選手/12チーム 賞金総額/SEK74万(スウェディシュ・クローネ) レース使用艇/DSマッチレーサー(全長11.25m、5人乗り)
四強、決定! 準決勝は
ピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチーム)対トミスラフ・バシッチ
エド・ベアード対マグナス・ホーンバーグ
ラッセル・クーツは予選落ち!!
1999年7月9日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート ピザーラセーリングチーム(PST)は、昨日すでに唯一チーム、準決勝進出を決めているため 今日はリラックスムード。他チームのレースを見ながら、準決勝戦の対戦相手が誰になるかのチェッ クに余念がなかった。 第二次総当たり戦Aグループ1位のPSTはBグループ2位と対戦する。Bにはエド・ベアード (米)、ラッセル・クーツ(ニュージーランド)の強敵がいるため、この二人が1、2位になるとい うのが大方の予想だった。そしてベアードは早々と1位を確定させたため、PSTの相手はクーツか と誰もが考えた。 しかし、伏兵がいた。トミスラフ・バシッチ(クロアチア)だ。バシッチは第二次総当たり戦を 4勝1敗の勝率で終えた。その勝利にはクーツとの対戦も含まれている。一方クーツは第二次総当た り戦が2勝3敗とふるわず、今一つ迫力がない。 ここで重要な役割を果たしたのが今回の得点制だ。第一次総当たり戦は1勝につき1点が与えら れ、第二次の1勝には2点が与えられる。これで計算すると、クーツは第一次で稼いだ8点に第二次 の4点を加えて総得点が12点。バシッチは第一次4点だったものの、第二次で8点を稼ぎ、総得点 12点。まったくの互角となった。しかし、前述のように直接対決でクーツを下したバシッチが、準 決勝進出の切符を手に入れることになった。 この結果、準決勝でのPSTの対戦相手はバシッチに決まった。 一方、Bグループ1位のベアードの相手はマグナス・ホーンバーグ(スウェーデン)。最終戦で PSTを敗ってAグループ2位を確定させたため、フィニシュラインを通過したときには周囲から優 勝したかのような祝福を受けていた。 総当たり戦の結果(勝敗数の後の数字は得点) Aグループ 第一総当たり戦 第二次総当たり戦 合計得点 1位 ピーター・ギルモア 9勝2敗(9点) 3勝2敗(6点) 15点 2位 マグナス・ホーンバーグ 6勝5敗(6点) 4勝1敗(8点) 14点 3位 ディーン・バーカー 4勝7敗(4点) 4勝1敗(8点) 12点 4位 ビヨン・ハンセン 6勝5敗(6点) 2勝3敗(4点) 10点 5位 ルック・ピロ 4勝7敗(4点) 2勝3敗(4点) 8点 6位 ギア・デイル・アンデルセン 2勝9敗(2点) 0勝5敗(0点) 2点 Bグループ 第一総当たり戦 第二次総当たり戦 合計得点 1位 エド・ベアード 9勝2敗(9点) 3勝2敗(6点) 15点 2位 トミスラフ・バシッチ 4勝7敗(4点) 4勝1敗(8点) 12点 3位 ラッセル・クーツ 8勝3敗(8点) 2勝3敗(4点 12点 4位 ハンス・ワレン 5勝6敗(5点) 3勝2敗(6点) 11点 5位 ステン・モア 3勝8敗(3点) 2勝3敗(4点) 7点 6位 ヤスパー・バンク 6勝5敗(6点) 0勝5敗(0点) 6点 本日のPST 昨日、一昨日と過密スクジュールで多くのレースをこなしたため、この日PSTは2レースを戦 うのみだった。しかも、午後からのスタートとあって午前中はゆっくりと他チームの走りを研究。レ ース本部の屋上には観覧席が設けてあり、そこからまさしく高見の見物をきめこむ。しかし、今回、 採用されている得点制は初めての経験。「得点システムが他のレースと違うので、誰が(準決勝に) 来るのかいつものように簡単には予測できなかった」とピーターが言うように、レースが終るたびに 各チームの得点を計算し、対戦相手が誰になりそうかとチェックに忙しかった。「今日のポイントは ラッセル・クーツが予選落ちしたことだな」と誰かが言ったが、そのクーツ相手に予選で1勝をもぎ 取ったことは大きな収穫だ。準決勝もしくは決勝で対戦するつもりだっただけに1回だけの対戦で終 ったのは少々もの足りないが、これでクーツと戦うことは、多分、アメリカズカップまでないだろう。 そういう意味で大きな1勝になったはずだ。
強い! ピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチーム)
トミスラフ・バシッチを3勝1敗で撃破
決勝戦はエド・ベアードが相手
1999年7月10日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート いよいよ、準決勝戦。これまでは長いプロローグに過ぎなかった。 ピザーラセーリングチーム(PST)の対戦相手は軽風ではこのところ著しい強さを見せて いるトミスラフ・バシッチ(クロアチア)。PSTとの体重差は何と50kg。微風だと、彼 らに有利だ。 そしてこの日、風は弱かった。 準決勝は先に3勝すれば勝ち。1戦目。スタートで完璧にバシッチをやり込めたPSTは2 艇身リードしてラインを切る。風が弱いとスタートのアドバンテージがものを言う。このまま リードを守り続けたPSTがまずは1勝。 2戦目。レース条件に公平を期すために船を乗り換えた。スタート直前、風上、風下の権利 関係でバシッチにペナルティを与えられる。スタートもPSTが先行。しかし、右海面のいい 風をつかんだバシッチが逆転し、第1上マークはバシッチ先行。第1下マークの状況変わらず 。しかし、第2上マークへ向うレグで右海面をとったPSTが逆転。その後、バシッチの風上 をきっちりと抑え2勝目を獲得。 3戦目。ますます風が弱まった。バシッチ、スタートを制し右海面を支配。執拗にPSTを 抑えにかかる。このレース海面、いったん前へ出られると抜き返すのが難しい。PSTもいい 風をつかもうとタッキンッグを試みるが、すべてバシッチのカバーに合う。準決勝、初の1敗 を喫した。PSTのクルーたちから、「このまま3連敗か」と冗談が飛び出す。スタートを制 すれば勝てるという自信の裏返しだ。 しかし、4戦目。そのスタートでわずかながらPSTが遅れをとる。両チームとも右海面を 狙っていくが、バシッチが先行。ここでPSTは観衆で賑わう岸壁ギリギリにタックし、スタ ーボードタックになった。その前には先にスタートしたレース艇もスターボードタックで走っ ている。そこにポートタックでやってきたバシッチ、スターボードのヨットの航路を妨害して はならないというルールにのっとり、他レースのヨットとPSTの両方を避けざるを得なかっ た。ここで大きく遅れ、PSTが逆転。周囲の状況をうまく利用したピーター・ギルモアの腕 の見せ所だった。このリードをさらに広げたPSTはその後のレグを常にリードしゆうゆうと フィニッシュラインを通過、3勝目を上げ、決勝進出を決めた。 一方、もうひとつの準決勝戦はマグナス・ホーンバーグ(スウェーデン)とエド・ベアード (米)の対戦。地元のスター、ホーンバーグがマークを先行するときは、岸壁の観客から大き な拍手が湧き起こり、まるでドーム球場で野球を見ているよう。実況放送も流れており、とて もヨットレースとは思えない雰囲気だ。だがしかし、ホーンバーグは1勝したもののエド・ベ アードの前に敗退し、PSTの決勝戦での対戦相手はエド・ベアードに確定した。レース終了 後、ベアードはギルモアのところにやってきて、「またこの組み合せだな」と一言。この顔合 わせ、スウェディッシュマッチカップでは95年、97年の決勝戦につづいて3度目となる。 準決勝戦の成績 ピーター・ギルモア(PST) 対 トミスラフ・バシッチ 3勝1敗でギルモアの勝ち エド・ベアード 対 マグナス・ホーンバーグ 3勝1敗でベアードの勝ち 本日のPST 「あっさり3連勝するつもりでしたが、風が弱いと彼らは速い。右側の海面がいいからどうし ても両チームともそちらを狙って激しい戦いになる。岸壁に囲まれたようなレース海面なので 、コースも変則的で選択肢が少ない難しいレースエリアだ。ベアードとはいろんなところで戦 っているが、全力を尽くします」とは谷路泰博クルーの言葉。周囲もギルモア対ベアードの顔 合わせに、優勝の行方を予想するのは難しそうだ。
ピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチーム)優勝!
エド・ベアードを3勝1敗で敗る!!
アメリカズカップ・スキッパーをことごとく敗り、3連覇、5度目の優勝を達成!!!
1999年7月11日スウェーデン・マルストランド発 レースレポート マッチレース世界ランキング1位のピーター・ギルモア率いるピザーラセーリングチーム( PST)は、エド・ベアード(米)を3勝1敗で敗り、スウェディッシュマッチカップに3連 覇を達成した。 昨日に引き続き、この日も微風。しかし、快晴。日曜日とあってマルストランドは行楽客で あふれ、レースを一目見ようと岸壁に集って来る。観客は選手たちの一挙一動に大きな拍手を 送り、ムードは最高潮に達した。 決勝戦は先に3勝すれば優勝が決まる。ベアードはアメリカズカップ挑戦チームの中でニッ ポンチャレンジの最大のライバルと目されるヤング・アメリカのスキッパー。この対戦はアメ リカズカップ挑戦艇選抜レースを占う意味でも大きな意味を持つ戦いとなった。 第1戦、PSTはスタートを制しベアードを左海面に追いやり、自らは風のいい右海面をと った。ここで勝負あり。第1上マークで1分30秒の差をつけ、後はかっちりとリードを守り 切り、幸先のいい1勝をあげた。 ここでヨットを乗り換える。第2戦、スタートでPSTがわずかながら先行し左海面へ向 かい、その後すぐ右海面へ方向転換。しかし、先に右海面に向っていたベアードに逆転され、 第1上マークはベアード先行。遅れて第1上マークを回ったPSTはすぐに左海面に向かい、 ベアードと分かれる。これがよかった。いい風をつかんだPSTは逆転し、第1下マークを1 5秒先に回航。第2上マークへ向うレグでPSTはベアードをコントロールし、先にスタート したペアが走る側にベアードを追いやり、風が不安定な中を走らせることに成功。リードを2 0秒差に広げて第2上マークを先行。ベアードこの後も逆転するきっかけをつかめず、ただ走 るのみ。PST、完勝で2勝目を獲得。実況放送で「ピーター・ギルモア! ニッポン 2 勝目!」と放送されると、岸壁の観客から拍手が湧き起こる。マルストランドでのPSTの人 気は大したものだ。 3戦目。ギルモアとクルーたちの戦前の打ち合わせどおり、風下でやや先行してスタートす る。そしてすぐにタッキングし、右海面へ。ゲームプランどおりだ。第1上マーク15秒先行 。しかしその後、第1下マークへ向う途中でベアードが逆転。この差が縮まらない。風が弱い だけに、いったん前へ出られると逆転できない。そのままベアードが先にフィニッシュ。つか みかけた優勝はお預けになった。 4戦目。このあたりで決めないと疲れが溜まってくる。クルーの谷路は「あと一つ」と指を 1本、静かに上げる。 このレースこそ、ゲームプランどおりだった。風下やや先行の位置からスタートし、先に右 海面を取りに行く。あまり早すぎても、軽風の中に入ってしまう。絶妙のタイミングでタッキ ング(風上への方向転換)して右海面へ向う。ベアードも同様に右海面へ。しかし、風の強弱 、風向の変化が細かく発生する中、PSTは徐々にリードを広げ、第1上マークを先行。その 後も大切に大切に風を拾い、しかもベアードを完璧に抑える位置につき、一つのミスもなくP STは走りきり、フィニッシュラインを通過。スウェディッシュマッチカップ3連覇、5度目 の優勝を達成した。この瞬間、陸上の観客からはどよめきのような拍手が起こり、それがしば らく鳴り止まない。PSTのクルーたちもその声援に応えるかのように両手を高々と上げて喜 びを身体いっぱいに表した。 スウェディッシュマッチカップ1999最終成績 1位 ピーター・ギルモア(PST、日本) 2位 エド・ベアード(米) 3位 トミスラフ・バシッチ(クロアチア) 4位 マグナス・ホーンバーグ(スウェーデン) 5位 ラッセル・クーツ(ニュージーランド) 6位 ディーン・バーカー(ニュージーランド) 7位 ハンス・ワレン(スウェーデン) 8位 ビヨン・ハンセン(スウェーデン) 9位 ルック・ピロ(仏) 10位 ステン・モア(デンマーク) 11位 ヤスパー・バンク(デンマーク) 12位 ギア・デイル・アンデルセン(ノルウエイ) 優勝を決めたPSTのクルーたちの一言 「昨年のニッポンカップ以来、久々の優勝です。これで来月の世界選手権(デンマーク)に勢 いがつきます」--谷路泰博 「気持ちいいですねぇ、優勝するって」--兵藤和行 「絵に描いたように思い通りにいって、最終戦は完勝でした」--脇永達也 「アメリカズカップの参加者に勝っての優勝。これが重要なんです。価値がありますね」 --早福和彦 「最高の運営の中、素晴らしいレースをすることができた。私にとっては5回目のスウェディ ッシュカップ優勝となったが、今回はまた格別の意味がある。アメリカズカップの挑戦艇選抜 レース(ルイヴィトン・カップ)を10月に控え、ラッセル・クーツ、ディーン・バーカー、 ルック・ピロ、エド・ベアードなどのアメリカズカップ関係者と戦い、そして勝ったことだ。 明日、日本の蒲郡へ帰ってすぐにアメリカズカップのための練習を再開するが、ニッポンチャ レンジはこれをきっかけにさらに強いチームになっていくと思う」--ピーター・ギルモア 参考資料 ピーター・ギルモア、スウェディッシュカップにおける過去の成績 1994年、95年、97年、98年優勝