Sailin'Japan / News Detail「バミューダ・ゴールド・カップ 組み合せ決定。 ピザーラセーリングチームは、アンドリュー・アルバゾフ(ロシア)と対戦」
10月7日バミューダ発 マッチレースの世界チャンピオン ピザーラセーリングチームが参 加するバミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キング・エド ワードZゴールドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主催/ロイ ヤル・バミューダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミルトンハー バー)の本戦がいよいよ10月8日から始る。 同レースは予選シリーズと本戦シリーズに分かれており、16人のノ ンシード・スキッパーが参加した予選は10月7日に終了し、8 人が勝ち残った。この8人のノンシード・スキッパーは本戦ラウンド 1で8人のシード・スキッパーと対戦。ピーター・ギルモア(マッチ レース世界ランキング2位)、谷路泰博、脇永達也、早福和彦の4人 からなる第2シードのピザーラセーリングチームとラウンド1で対戦する のは、予選シリーズを4位で通過したアンドリュー・アルバゾフ(ロシア 、同27位)となった。 両者は10月8、9日に3戦先勝方式(ベスト・オブ・ファイブ)で戦う。 なお、本戦シリーズはトーナメント方式で行われ(ベスト・オブ・ファイ ブ)、準々決勝は10月10日、準決勝は11日、決勝は12日の予定。 賞金総額6万ドル。1位には1万7千ドルが与えられる。 10月6日夜、25時間の飛行機の旅を終えてバミューダに着いたピザ ーラセーリングチームの面々は、7日朝に体重測定。制限いっぱいの 350キログラムにうまく収めて減量の苦しみは味合わずにすんだ。 その後、シード・スキッパーだけが参加する練習レースが行われた。練習 とはいえ賞金のかかったレースだけに、疲れていてもクルーの気合は十分。 順調に勝利を重ね、1位、2位決定戦ではマグナス・ホルム ベルグを破り、見事、優勝賞金3千ドルを獲得した。この賞金はスキ ッパーを含む4人で均等に分配するというピーター・ギルモアの粋な 計らいにより、3人の日本人クルーはにっこり。「絶対に勝つぞ」と いう気持ちがよりいっそう高まってきた。宿敵ラッセル・クーツ(ニュー ジーランド、同1位)が参加することもあって、いい緊張を保ちなが ら明日からの本戦を迎えられそうだ。「ピザーラセーリングチーム、 アンドリュー・アルバゾフ(ロシア)を3連勝で下す」
10月8日バミューダ発 世界チャンピオン ピザーラセーリングチームが参加しているマッ チレースのバミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キング・ エドワードZゴールドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主催/ ロイヤル・バミューダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミルトン ハーバー)のラウンド1が10月8日行われた。ピーター・ギル モア(マッチレース世界ランキング2位)をスキッパーとするピザーラセ ーリングチームはアンドリュー・アルバゾフ(ロシア、同27位)と 対戦、3勝0敗で下した。 対戦相手のアンドリュー・アルバゾフはロシアでこのところメキメキと頭 角を表しているマッチレーサーで、すでに3日間の予選シリーズを戦 ってきただけにレース艇の操船には慣れている。ノンシード・スキッパー を侮れないのはこの点だ。しかし、ピザーラセーリングチーム(PST) のレース展開は終始、安定していた。 第1マッチでスタートからリードしたPST。だが、シフティな風はロシ ア艇に有利に吹き、風上マークへの最終アプローチでは何とPSTが遅れ をとった。この日、唯一ヒヤッとした瞬間だ。しかし、ポート、スターボ ードのケースが発生しロシア艇にペナルティ。スタート前のケースと合わ せて2つのペナルティをかかえたロシア艇は即座に解消のターンを行う。 この間にPSTはロシア艇を抜き去る。この後、ロシア艇はさらにケース をおかして再度、即座のペナルティ・ターン。PSTは圧倒的な差でこの レースを終えた。つづく第2マッチはレース艇を交換しての対戦したが、 PSTのスピードはまったく変わらず全レグをリードしてフィニッシュ。 第3マッチもスタート前にペナルティをおかしたロシア艇をはるか後方に 置いてPSTは確実な走りを重ね、余裕をもってフィニッシュし3連勝を 飾った。ヨットレースに楽勝はあり得ないが、安心して見ていられるPS Tのレース展開だった。 クルーの谷路泰博は、「2日間走って風のシフトのパターンがだいたいつ かめてきた。ピーター・ギルモアはこのレースが好きで自信を持っている から、明日以降もいいレースができますよ」と語った。 ハミルトン・ハーバーは快晴つづき。この天気につられて平日というのに ロイヤル・バーミューダ・ヨットクラブには観戦者が詰めかけ、用意され たベンチから熱心にレースを見ている。観客を沸かせたのはPSTとラッ セル・クーツ(ニュージーランド、マッチレース世界ランキング1位 )の圧倒的な強さ、それに予選から勝ち上がった地元のピーター・ブロン ビーが第7シードのオリンピック金メダリストのヨハン・シューマンを3 連勝で破ったことだった。PSTは準々決勝でこのピーター・ブロンビー と対決することになった。「ピザーラセーリングチーム、 バミューダでつかの間の休息」
10月9日バミューダ発 世界チャンピオン ピザーラセーリングチームが参加しているマッ チレースのバミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キング・ エドワードZゴールドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主催/ ロイヤル・バミューダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミルトン ハーバー)は、ラウンド1の全戦が昨日で終了したため、10月9 日はレースは行われなかった。 ピーター・ギルモア(マッチレース世界ランキング2位)をスキッパーと するピザーラセーリングチームは午前中は完全休養。ホームステイ先で洗 濯をしたり、バイクで近くの海岸を散策したりとゆったりとした時間を過 ごした。その後、午後からはスポンサーが主催するプロアマ・レガッタに 参加。このレースは準々決勝に進出したスキッパーを中心に、スポンサー のアマチュア・セイラーとともにフリートレースを競うというもの。ピザ ーラセーリングチーム(PST)はピーター・ギルモア、脇永達也、早福 和彦が4人のスポンサーとともに乗り込み、谷路泰博は陸から観戦と なった。陸上の谷路はしかし、ゆっくりと観戦する気にはならないようで 、カメラを取り出してPSTの帆走シーンをしきりに撮影していた。 バミューダ・ゴールドカップ、明日からは準々決勝に突入。PSTは予選 シリーズを勝ち上がりゴールドメダリストのヨハン・シューマンを3連 勝で破った地元のピーター・ブロンビーと対戦する。ピーター・ブロンビ ーはゴールドカップで採用されているヨット、IODクラスの世界選手権 に優勝したこともあり、手強い相手だ。地元のヒーローということもあり 、明日、もっとも注目を浴びる対戦となるだろう。 明日の組み合せは下記のとおり。 ピーター・ギルモア(日本)対ピーター・ブロンビー(バミューダ) ラッセル・クーツ(ニュージーランド)対ギャビン・ブラディ(香港) マグナス・ホルムベルグ(スウェーデン)対ピーター・ホルムベルグ(バ ージン諸島) エド・ベアード(米)対マリー・ジョーンズ(ニュージーランド) (5戦のうち先に3勝した者が勝つベスト・ファイブ方式で競われる)「ピザーラセーリングチーム3連勝でピーター・ブロンビーを破る!! 第3シード エド・ベアード、よもやの敗退!!!」
10月10日バミューダ発 マッチレースのバミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キン グ・エドワードZゴールドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主 催/ロイヤル・バミューダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミル トンハーバー)は10月10日に準々決勝を行い、世界チャンピ オン ピザーラセーリングチームはピーター・ブロンビーを3連 勝で下し、準決勝進出を決めた。 素晴らしいレースの連続だった。 ピーター・ギルモア(マッチレース世界ランキング2位)をスキッパーと するピザーラセーリングチーム(PST)は第1マッチを互角にスタ ート。しかし、地元のピーター・ブロンビーの走りは抜群で、PSTはわ ずかに遅れをとる。さらに第1レグ途中で近すぎる位置でタッキングした としてPSTにペナルティが課せられ、リードはますます広がる。しかし 、ここからが世界チャンピオンの地力の見せ所だった。けっして焦らず、 いい風を求めていねいにコースを走るPSTは、第4レグで風の吹き込み をつかんでリードを縮め、さらに第4マーク回航で内側に入り、ブロンビ ーを外側に押し出すように回航しついに逆転。その後も徐々にリードを広 げ、フィニッシュライン直前でペナルティ解消のターンを行ってなお2艇 身の差をつけてブロンビーを破った。快心の勝利だった。 つづく第2マッチはレース艇を乗り替えての対戦。スタートからリードし たPSTは安定したした走りで一度も危ういシーンを見せず、一気にフィ ニッシュ。安心してみていられるレースだった。 第3マッチを迎えて、「この勢いで行こう」というクルーたちの気持ちは ひとつになった。午後になって出てきた雲はレース海面に風のスポットを 発生させる。スタートはPSTが制し最初のミーティングは半艇身リード 。しかし、ブロンビーの走りは安定し徐々に差を縮め、パフ(風のスポッ ト)をつかんだブロンビーに第1マークでわずかに先行される。その後も 徐々にリードを広げられ、第5レグ途中までそのままの状態がつづく。し かし、誰もがブロンビーの勝利を確信し出したそのとき、PSTは大きな 風の振れをつかんで一気に挽回、最終上マークを先行した。ヨットクラブ に詰めかけた観客からは悲鳴ともつかぬ声援が地元のブロンビーに対して 起こるが、PSTは素晴らしいスピンホイストで確実にリードを守る。し かしこれでは終わらなかった。最終レグ、風が吹くと確信した海面には風 が吹かず、ブロンビーの海面にパフが起こり差がグッと縮まる。これを見 たPSTはジャイブし、ブロンビーとフィニッシュラインの間に自艇を位 置させ、さらに風下のポジションを利用してラフィングマッチを仕かける 。ここでマッチレースのプロフェッショナル集団PSTとブロンビーの差 が出た。IODクラスの世界選手権優勝者のブロンビー、船を走らせる技 術は高いが、マッチレース特有の細かなセーリングではPSTに遅れをと った。ラフィングマッチで風下から攻撃されたブロンビーは大きくブロー チング。ここで勝負は決まった。PSTはすばやくジャイブしてフィニッ シュラインに向かい、3勝目を飾った。苦しくはあったがマッチレース巧 者PSTの快心の勝利だった。 一方、準決勝進出は確実と見られていた第3シードのエド・ベアード(米 、同3位)は予選シリーズを勝ち上がってきたマリー・ジョーンズ(ニュ ージーランド、同60位)と対戦し2勝3敗で敗れ、準決勝進出はな らなかった。信じられないことが起こるのがマッチレースだ。この結果、 PSTは明日の準決勝で勢いに乗るマリー・ジョーンズと対戦することに なった。 準決勝のもう一つの組み合せはラッセル・クーツ(ニュージーランド、同 1位)対ピーター・ホルムベルグ(バージン諸島、同6位)となる。
「ピザーラセーリングチーム、3勝1敗でマリー・ジョーンズを下し決勝へ進出! ラッセル・クーツも快勝!! ビッグ2が明日の決勝戦で激突!!!」
10月11日バミューダ発 マッチレースのバミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キン グ・エドワードZゴールドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主 催/ロイヤル・バミューダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミル トンハーバー)の準決勝戦が10月11日に行われ、世界チャン ピオン ピザーラセーリングチームはマリー・ジョーンズを3勝 1敗で下し、決勝進出を決めた。 ピーター・ギルモア(マッチレース世界ランキング2位)をスキッパーと するピザーラセーリングチーム(PST)の対戦相手マリー・ジョンズ( ニュージーランド、世界ランキング60位)は、唯一、予選シリーズ から勝ち上がってきたスキッパーだ。95年アメリカ杯でカップを獲 得したニュージーランドチームのタクティシャンで、次のアメリカ杯でも ニュージーランドチームの一員となる。彼にとってマッチレースへの参戦 はアメリカ杯防衛のためのトレーニングの一環でもある。 レース前、マリー・ジョンズはラッセル・クーツと走り合せる。一方、P STはスタートラインから上マークまで丹念にレース海面をチェックする 。次第に緊張が高まってくる。 第1マッチ、最高のスタートを切ったPSTが第1マークを先行。しかし 、第2マークまでの間にジョーンズが猛追しラフィングマッチをしかけ、 PSTにペナルティの判定。だが、リードを保ったままPSTは第2マ ークを回航し、その後リードを広げ、第3マークでは3艇身先行。その後 もリードを徐々に広げ余裕が出てきたPSTは第5マーク手前でペナルテ ィ解消のターンを行ってなおリードを保ち、そのままフィニッシュ。3 5秒の差をつけて、まずは1勝をあげる。 第2マッチはマリー・ジョーンズがスタート直後の風をつかみ、第1マー クを先行。シフティな海面は運、不運を生み出す。抜きつ抜かれつの接近 戦を演ずるも、最終的にマリー・ジョーンズが22秒差でフィニッシ ュラインを先に切り、1勝1敗となった。 第3マッチ、PSTは完璧だった。スタート前の時間を完璧にコントロー ルしたPSTは、スタートラインからジョーンズ追い出し、ぴったりのタ イミングでスタートラインを切ったときにはすでに7、8艇身の差がつい ていた。その後もまったく危なげのない完璧なレースを展開し、1分 44秒の大差でジョーンズを下し2勝1敗とした。 風が落ちた中で第4マッチがスタートした。弱くなると風はより振れ やすくなる。スタートはほぼ互角のタイミングだったが、直後にジョーン ズ艇の上り角度が有利になる風がふっと入ってきた。これでPSTは2 艇身ほど遅れをとり、第1マークではジョーンズが先行。しかし、第2 マークへ向かう風下レグでいい風をつかみスピードに乗ったPSTはジョ ーンズに追いつき、第2マークで逆転。第3マーク、PSTは4艇身 差で先行して回航。最後のレグでジョーンズは後ろから来た風を受け猛追 するも、PSTの走りもこれに劣らず快調、そのまま逃げ切りに成功し、 16秒差で3勝目をあげ決勝進出を決めた。 3勝1敗で勝ったとはいえ息の抜けないレースがつづき、陸に上がっ てきたクルーたちの表情はげっそり。「恐い海面です。レース海面が狭く 陸が迫っていますから、海を渡ってくる風の表情を読むということができ ない。陸から突然やって来る風をつかむと、遅れていても一瞬で挽回でき るし、その逆も起こり得る。何が起こるかわからない。明日の決勝は最終 戦までもつれ込むと思います」と谷路泰博は今日のレースの感想を語った 。 なお、もう一つの準決勝戦ラッセル・クーツ(ニュージーランド、世界マ ッチレースランキング1位)とピーター・ホルムベルグ(バージン諸 島、同6位)の対戦はラッセル・クーツが3勝0敗で勝ち、決 勝進出を決めた。 この結果、明日の決勝戦はピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチー ム)対ラッセル・クーツとなり、誰もが待ち望んでいたビッグ2の対戦と なった。最終戦で二人が対戦するのは1年前のこのバミューダ・ゴー ルドカップ以来。そのときは惜しくも敗れたピーター・ギルモアにとって 、明日の一戦は1年ぶりに借りを返す絶好のチャンスとなるはずだ。 また、今日のレースで5位以下の順位は下記のように決定した。 5位 マグナス・ホルムベルグ 6位 エド・ベアード 7位 ギャビン・ブラディ 8位 ピーター・ブロンビー
「強い!ピザーラセーリングチーム、 アメリカズカップ防衛チームのスキッパー ラッセルクーツを撃破しバミューダ・ゴールドカップを制覇!! マッチレース世界ランキング1位に返り咲き、世界選手権制覇(7月、スウェーデン)とともに世界ナンバー1に上りつめる!!!」
10月12日バミューダ発 圧倒的な強さだった。3連勝とは誰も予想していなかったに違いない。 しかし、「まったく不安はなかった」というスキッパー ピーター・ ギルモアの言葉どおり、ピザーラセーリングチーム(PST)は王者の走りで ラッセル・クーツを3勝0敗で下し、バミューダ・ゴールドカップの覇者と なった。 バミューダ・ゴールドカップ(正式名称/1997キング・エドワード・ゴー ルドカップ・マッチレーシング・トーナメント、主催/ロイヤル・バミュ ーダ・ヨットクラブ、開催地/バミューダ・ハミルトンハーバー)の決勝 戦は10月12日に行なわれた。明け方に激しい雨が降り、朝から強い風が吹 く。レース前、海面を吹く風を見てクルーの谷路泰博は、「ようやく吹い てくれたな」とニヤリ。得意の風だ。脇永達也はインターネットで取り出 した世界一周レースの途中経過を熱心に読み、緊張している様子はまった くない。早福和彦も昨日の対戦相手マリー・ジョーンズのクルーと和やか に話をしている。PSTの全員がいい雰囲気だった。一方、ピーンと張り詰 めたレース海面には第1マッチ、スタート4分前の号砲が鳴り渡る。PSTと ラッセル・クーツ、お互い相手の様子を一瞬なりとも見逃すまいと表情が 厳しい。スタートのタイミングはイーブンで、しかも走りには全く差がな い。最初のミーティングでPSTはクーツの風下手前でタック。ほとんど互 角だ。しかし、風をつかんでわずかにゲインしたPSTが第1マークを先に回 航。次の風下でラフィングマッチがあるがケースは起こらず、第2マーク もPSTが2艇身差で先行。その後も差はまったく縮まる気配が無く、片時も 息の抜けない走りがつづく。マーク回航のテクニックは両チームとも芸術 的なほど完璧だ。これではクーツはPSTを抜けない。PSTは張り詰めた空気 のなか第1マッチを制し、まずは1勝をあげた。 艇を乗り替えての第2マッチ。風が少し強くなり12ノットから14ノット。 スタートエントリー直後、PSTのティラー・エクステンションが破損。ル ールにより、エントリー後はこのままレースを続けるしかない。しかし 、プロフェッショナルチームの素晴らしさ、PSTに全く焦りはなく、早福 が素早く応急修理を完了する。スタートはほぼ互角。その後、両艇は右左 に分かれたが、最初のミーティングでクーツが先行。第1マークはクーツ が25秒先行。この差が次の4つのレグでは縮まらない。しかし、第5マーク 直前でケースが起こった。ラフィングマッチを演じた直後、両艇が接触。 だが、内側に入ってマークを先行したクーツ艇にペナルティの裁定。ここ が大きな勝負所だった。わずかに先行してフィニッシュラインに向かうク ーツ艇にPSTはぴたりと追走。徐々に差が縮まる。PSTはフィニッシュライ ンに向かってまっしぐら。先行するクーツがラインを切ってペナルティ解 消のターンを行うも、その間にPSTが先にフィニッシュ。大きな大きな1勝 を得た。これで2勝0敗。 第3マッチはスタートからPSTが主導権を握った。PSTの攻撃でクーツはス タートラインに戻るタイミングを誤った。PST、ジャストタイミングでス タート。クーツはすでに3艇身ほど遅れている。第1レグ、第2レグともPST がリード。第2マークでは15秒差でPST先行。第3レグの風上へのコースで は、クーツが右のコースを引くも、ピーター・ギルモアはクルーのアドバ イスに従いそれを抑えず左のコースをしばらく走る。「左右に分かれると 恐いんです。どんな風が吹くかわからないので」とレース前にクルーは 語っていたが、ここは単純にフェイスを合わせることはせず、落ち着いて 海面を選択した。クーツは勝負に出てそのまま右海面へ突っ込み風をつか むが、PSTの走りも素晴らしい。その差はまったく縮まらず、第3マーク、 第4マーク、そして第5マークと差はほぼ同じ。まったく互角の走りだが 、スタートのアドバンテージが効いた。第5マークで25秒先行したPSTの全 員は後続のクーツ艇を振り返るが、もう心配はない。安定した風のなか、 最後の走りを確実に終えたピザーラセーリングチームは、3勝0敗でラッセ ル・クーツを下し、49回を迎える歴史あるバミューダ・ゴールドカップを 勝ち取った。ラインを切ったその瞬間、クルー達は両手を高々とあげて大 喜び。単なる勝利ではない。マッチレース世界ランキング1位のラッセル ・クーツを破っての勝利の価値は大きい。 この結果、ピーター・ギルモアのマッチレース世界ランキングはクーツを 下して1位となり、先のマッチレース世界選手権優勝に加えて名実ともに 世界のナンバー1となった。さらにピーター・ギルモア以下、谷路泰博、 脇永達也、早福和彦ともに次回アメリカズカップをめざすセイラーにとっ て、カップ防衛チームのスキッパー、ラッセル・クーツを下しての勝利に は格別の意味がある。日本のマッチレース界に大きな一歩を記した勝利と なった。 [バミューダ・ゴールドカップ最終成績] 1位 ピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチーム、日本) 2位 ラッセル・クーツ(ニュージーランド) 3位 ピーター・ホルムベルグ(バージン諸島) 4位 マリー・ジョーンズ(ニュージーランド) 5位 マグナス・ホルムベルグ(スウェーデン) 6位 エド・ベアード(アメリカ) 7位 ギャビン・ブラディ(香港) 8位 ピーター・ブロンビー(バミューダ)