Sailin'Japan / News Detail

7月31日(米国ロードアイランド州ニューポート発)
ピザーラセーリングチーム(PST)が久々のマッチレースに参戦。米国東海岸ニューポートで行われているUBSチャレンジだ。しかし、ブランクを感じさせないピーター・ギルモアの舵さばきでスタートから相手を追い出し、まずは第1レースを圧勝。絶好調のPSTがベテランの味を見せつけ、まずは好発進した。
UBSチャレンジとは
UBSチャレンジは今年初めて行われるユニークなマッチレースだ。全米6カ所で行われた地域選手権の1、2位のアマチュア・スキッパーが、ニューポートで優勝決定戦を行ない、上位3人が勝ち残った。その3人がプロセーラーと対等に戦うプロ、アマ混在のマッチレースがUBSチャレンジだ。プロセーラーはアメリカズカップ・スキッパーやマッチレース・トップランカーで、今が旬の話題のスキッパーたちだ。
UBSチャレンジの初日は、5時間の風待ちの後、始まった。南の風が吹き出した午後2時、ようやくスタートガンがニューポートの海に鳴り響いた。
PSTの緒戦の相手は、予選を勝ち抜いて参加した米国のアマチュアセーラー。これは圧勝だったが、第2戦は予想外の苦戦。この相手も別の米国アマセーラーだったが、第1マークは相手の後塵を拝する展開。しかし、クルーたちの「そんなにスピード差はありません」という落ち着いたアドバイスにより、スキッパー ピーター・ギルモアは第2マーク回航でインサイドを取り、その後あっという間の逆転。先行すると強いのは、いつものPST。第2戦もモノにしたが、アマチュアとてあなどれないと気を引き締めたレースだった。
続く第3戦はスタートからPSTの勢いが勝っていた。相手はスイスのアメリカズカップ挑戦チーム エリンギ所属のジャン・クロード・モニン。これまで対戦したことはなく不気味な存在だったが、スタートで本部船の外側に追い出し、後は確実に相手を抑えて走り、3勝目を獲得した。これで初日は負け無しの3連勝だ。
レース概要
大会名称/UBSチャレンジ
開催場所/米国東海岸ニューポート(ロードアイランド州)
主催/ニューヨーク・ヨットクラブ
期間/2002年7月30日〜8月4日
使用艇/J105s(4〜5人乗り)
参加選手/16人。UBSチャレンジ米国選手権上位3人と招待スキッパー13人
グレイド/グレイド1。マッチレース世界ランキングにおける獲得ポイントが高い(同レースはスウェディシュマッチ・ツアーの2002/3シリーズの第2戦になっている)
レース方式/8人ずつの2グループが総当たり戦を2回行ない、それぞれの上位4人、合計8人が上位決定戦に進出する。
13名の招待スキッパー(ランキングは7月24日現在)
・ピーター・ギルモア(ピザーラセーリングチーム、米、アメリカ杯に挑戦するワンワールドチャレンジ所属、マッチレース世界ランキング54位)
・ギャビン・ブラディ(伊、プラダチャレンジ所属、同7位)
・ジャン・クロード・モニン(スイス、チーム・エリンギ所属)
・ジェイムス・スピットヒル(豪、ワンワールドチャレンジ所属、同20位)
・エド・ベアード(米、同3位)
・ケン・リード(米、チームデニスコナー所属、同26位)
・ドン・ライリー(米、マッチレース世界ランキング女子部門23位)
・クリス・ロウ(英、同108位)
・パオロ・チアン(伊、マスカルゾーネ・ラチーノ所属、同12位)
・アンディ・グリーン(英、ブリティッシュチャレンジ所属、同27位)
・リュック・ピロ(仏、ルデフィ所属、同16位)
・J.グラム−ハンセン(デンマーク、同4位)
・ヤスパー・ラディッヒ(デンマーク、同2位)
PSTメンバー
ピーター・ギルモア(艇長)/オーストラリア・パース出身
谷路泰博(メインシートトリマー)/東京都出身
脇永達也(ヘッドセールトリマー)/山口県出身
モーガン・ラーソン(バウマン)/米国カリフォルニア・サンタクルーズ出身

USBチャレンジ2日目
8月1日(米国ロードアイランド州ニューポート発)
ピザーラセーリングチーム(PST)は強い。レース2日目の今日、アメリカ杯セーラーと対戦する厳しいカードの連続だったが、3勝1敗とし、1回目の総当たり戦でグループAのトップに立った。通算成績は6勝1敗。
圧巻はケン・リード戦だった。
ご存知、ケン・リードはアメリカズカップに挑戦するチーム・デニス・コナーの若親分格。今日一番の大物同士の対決だったが、スタートからPSTが圧倒した。
スピードに乗ってラインを切ったPSTに対してケン・リードはアウターマークを避けるようにしてスタートせねばならず、その分、スピードがにぶい。「ヤジ(谷路)、タツ(脇永)のクルーワークがスムースで、私のボートハンドリングも楽だった。ケンもスタート後はよく走ったが、我々はすべてがうまくいった」とスキッパーのピーター・ギルモアは余裕の勝利の弁。
フランスのアメリカ杯チームを代表するリュック・ピロ戦もPSTの強さが光った。とはいえコースのほとんどで終始リードされていたのだが、フィニッシュ直前に見事に逆転した。
笑ってしまうほど短時間で終わったのは、ランキング4位のJ.グラム−ハンセン戦。スタート前に相手が2度のペナルティをおかし、しかも2度目はPSTの艇尾に激突したため審判は失格を意味するブラックフラッグを掲揚。その時点でレースはPSTの勝利となった。
しかし、いいことばかりでないのが勝負の世界。イタリアのパウロ・チアン戦はペナルティを喰らい、それが最後まで響き、前半戦で唯一の黒星を喫した。やはりペナルティは鬼門である。要注意だ。
今日も暑い。連日の酷暑でそろそろ疲れもたまる頃だが、前半を首位で折り返したPSTの雰囲気は明るい。レースは8月4日までつづくが、このままの勢いで総当たり戦を勝ち抜き、優勝決定戦に進出してほしいものだ。
レース成績
| ■グループA | |
| ピーター・ギルモア(米) | 6勝1敗 |
| J.グラム−ハンセン(デンマーク) | 5勝2敗 |
| パオロ・チアン (伊) | 5勝2敗 |
| ケン・リード(米) | 4勝3敗 |
| リュック・ピロ(仏) | 3勝4敗 |
| メイソン・ウッドワース(米) | 2勝5敗 |
| ジャン・クロード・モニン(スイス) | 2勝5敗 |
| ベン・シーザー(米) | 1勝6敗 |
| ■グループB | |
| ジェイムス・スピットヒル(豪) | 6勝1敗 |
| クリス・ロウ(英) | 5勝2敗 |
| エド・ベアード(米) | 4勝3敗 |
| アンディ・ロヴェル(米) | 4勝3敗 |
| ヤスパー・ラディッヒ(デンマーク) | 3勝4敗 |
| ギャビン・ブラディ(伊) | 3勝4敗 |
| アンディ・グリーン(英) | 1勝6敗 |
| ドン・ライリー(米) | 1勝6敗 |
![]() 記者会見の様子(左から3人目がピーター・ギルモア) |
| ■グループA | ||
| ピーター・ギルモア(米) | 9勝1敗 | |
| J.グラム−ハンセン(デンマーク) | 7勝3敗 | |
| パオロ・チアン (伊) | 7勝3敗 | |
| ケン・リード(米) | 6勝4敗 | |
| リュック・ピロ(仏) | 6勝4敗 | |
| メイソン・ウッドワース(米) | 2勝8敗 | |
| ジャン・クロード・モニン(スイス) | 2勝8敗 | |
| ベン・シザー(米) | 1勝9敗 | |
| ■グループB | ||
| クリス・ロウ(英) | 9勝4敗 | |
| エド・ベアード(米) | 8勝5敗 | |
| ジェイムス・スピットヒル(豪) | 7勝6敗 | |
| アンディ・グリーン(英) | 7勝6敗 | |
| ヤスパー・ラディッヒ(デンマーク) | 6勝7敗 | |
| アンディ・ロヴェル(米) | 6勝7敗 | |
| ギャビン・ブラディ(伊) | 5勝8敗 | |
| ドン・ライリー(米) | 3勝10敗 |
UBSチャレンジ4日目
8月3日(米国ロードアイランド州ニューポート発)
ピザーラセーリングチーム(PST)が準決勝戦進出を決めた。今日行われた総当たり戦の4試合を3勝1敗とし、通算成績を12勝2敗としたPSTはグループAの1位となり、明日の準決勝戦ではグループB2位のエド・ベアードと対戦する。
タフなレースの連続だった。
パオロ・チアン(伊シンジケート所属)と対戦したレースではペナルティを抱え、しかも第1、2レグでリードされる。しかし、下マーク回航でインサイドに入り相手のスピンのハンドリングミスを誘い、この機にリードを奪うとともにペナルティを解消、勝利を収めた。
つづくリュック・ピロ(仏シンジケート所属)戦は逆転につぐ逆転のハラハラする展開だったが、接戦に強いのがPST。最終的にはリードを奪い勝利。
ランキング4位のJ.グラム−ハンセン戦は第1、2レグでリードされたが、下マーク回航手前で攻撃。これに動揺した相手は2度のペナルティをおかし、ここで脱落。唯一の敗戦はケン・リード(米シンジケート所属)戦だった。スタートで先行され、そのまま逆転できず敗戦した。
1敗はしたものの、PSTの力強さが目立った日だった。通算12勝2敗はA、Bグループ中トップの勝率。久々の小型艇のマッチレースとはいえ、PSTの冴えはいささかも衰えてはいない。
「得意な船っていうのがあるんですが、今回のレース艇はその一つ。アメリカズカップ艇で毎日セーリングしているんですから、小型艇とはいえ変わりませんよ」とクルーたちは絶大な自信を見せる。
レース海面では「ニューポート・フォーク・フェスティバル」会場から流れてくる気持ちのいい音楽がはっきりと聞こえる。さすがニューポート。PSTの快調の秘密は、この乗りの良さかもしれない。
明日はレース最終日。エド・ベアードを破って決勝に進出すれば、もう一つの準決勝戦クリス・ロウ対パオロ・シアンの勝者と対戦する。乞う、ご期待。
総当たり戦の成績
| ■グループA | |
| ピーター・ギルモア(米) | 12勝 2敗 ……準決勝に進出 |
| パオロ・チアン (伊) | 10勝 2敗 ……準決勝に進出 |
| J.グラム−ハンセン(デンマーク) | 10勝 2敗 |
| ケン・リード(米) | 9勝 5敗 |
| リュック・ピロ(仏) | 7勝 7敗 |
| メイソン・ウッドワース(米) | 4勝10敗 |
| ベン・シザー(米) | 2勝12敗 |
| ジャン・クロード・モニン(スイス) | 2勝12敗 |
| ■グループB | |
| クリス・ロウ(英) | 10勝 4敗 ……準決勝に進出 |
| エド・ベアード(米) | 9勝 5敗 ……準決勝に進出 |
| ジェイムス・スピットヒル(豪) | 8勝 6敗 |
| アンディ・グリーン(英) | 8勝 6敗 |
| ヤスパー・ラディッヒ(デンマーク) | 6勝 8敗 |
| アンディ・ロヴェル(米) | 6勝 8敗 |
| ギャビン・ブラディ(伊) | 5勝 9敗 |
| ドン・ライリー(米) | 3勝11敗 |
UBSチャレンジ最終日
8月4日(米国ロードアイランド州ニューポート発)
今日は準決勝、決勝と立て続けに行われた。ピザーラセーリングチーム(PST)は準決勝でエド・ベアードと対戦し0勝2敗となり、決勝進出はならなかった。パオロ・チアンと対戦した3,4位決定戦では2連勝し、3位を確定させた。優勝戦はエド・ベアードとクリス・ロウの対戦となり、クリス・ロウが2勝1敗で優勝を決めた。
長く暑い1日だった。約5時間の風待ちのあとレースは始まった。「エド・ベアードは軽風が得意ですからね」というレース前のクルーの言葉が気にかかる。
風に勢いがないままスタート号砲が鳴った。6〜8ノットの風の中、PSTは左海面へ向かったが、直後に風が大きく右へ40度シフトしエド・ベアードがリード。しかも下マークでPSTにペナルティの判定が下された。その後、逆転しリードを奪うものの、ペナルティが効いてPSTは緒戦を落とした。
つづく第2レースも風は上がってこない。しかし、接戦だった。わずかにリードしたエド・ベアードに対しPSTがたびたびの攻撃。ベアードは徐々に遅れ始め、下マークでPST逆転先行。加えて、ベアードにペナルティ。PST、リードを保ち上マークへ。しかし、上マークで回航のスペースを与えなかったとしてPSTにペナルティでベアードのペナルティが消える。しかも、その直後に再びPSTにペナルティが課せられた。リードを保ってフィニッシュラインへ向かったが、ペナルティ解消の間にベアードがラインを切った。これで2連敗となり、決勝進出はならなかった。
優勝は逃したものの、得るものはあった。バウマンのモーガン・ラーセンはアメリカズカップ挑戦チームではタクティシャン候補。「レース海面に女の子が多くて、タクティクスまでは考えてられなかった」とまずはジョークを一発。しかし、「自分にとって7回目の小型艇のマッチレースだったが、い
ろんな意味で面白いレースだった」と収穫アリの様子。脇永達也は、「ボート速度、チームワーク、セーリングスキルなど、パフォーマンスでは負けていないだけに、フラストレーションのたまる結果になった。チームに帰ってじっくりミーティングせねば」と結果を受け止める。谷路泰博は、「風が今ひとつ吹き上がらなかったのが残念。しかし、モーガンが入って初めてのチーム態勢で臨んだが、どこのレースでも戦えるパフォーマンスを備えていることがはっきりした。1年ぶりだったがすごくいい感じで戦えた。アメリカズカップが終わったら、再び、ツアーに参加しようかと考えている。でも、体力が持つかなぁ」と敗戦にも深刻な様子はない。
ピーター・ギルモアは、「風のコンディションが難しく3位にとどまったが、結果は素直に受け止める。新しいスタッフが入り久々のツアー参加だったが、チームワークは抜群だった。オークランドに帰って、アメリカズカップへ向けてのトレーニングをつづけるが、今回の結果をいい刺激にしたい」と語った。
UBSチャレンジ最終結果
| 1位 | クリス・ロウ(英) |
| 2位 | エド・ベアード(米) |
| 3位 | ピーター・ギルモア(米) |
| 4位 | パオロ・チアン (伊) |
| 5位 | ケン・リード(米) |
| 6位 | アンディ・グリーン(英) |
| 7位 | ジェイムス・スピットヒル(米) |
| 8位 | J.グラム−ハンセン(デンマーク) |